書籍紹介『依存症がわかる本 防ぐ、回復を促すためにできること』

2021年9月5日

この本では依存症全般の基礎知識について、イラストや図を用いて大変分かりやすく紹介されています。

監修者の紹介

監修者は国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長の松本 俊彦さんです。厚生労働省依存症対策全国センター共同センター長、日本学術会議アディクション分科会特任連携委員を務められるなど、依存症対策についてのエキスパートとして多方面で活躍されています。薬物依存の治療にあたられているだけでなく、マスコミにも多く登場されていて、依存症についてわかりやすく解説されている姿を目にします。

本の構成(目次)

第1章 「依存症」とはなにか
第2章 依存対象の特徴を知る
第3章 回復に必要なこと
第4章 まわりの人ができること
第5章 「予防教育」を考える

本の内容

第1章では依存症に至る原因や経緯、第2章ではどんなものに依存してしまうのかが書かれており、依存症になるとどうなってしまうのかを理解することができます。第3章では回復のための具体的な取り組みについて書かれており、回復に向けての取り組みを具体的にイメージすることができます。第4章では周囲の人のサポートについて書かれています。依存症は本人はもちろん、身近な人ほど問題に巻き込まれやすく、そのメカニズムや対応についても書かれています。第5章では予防教育についても触れられています。

図やイラストを多用して依存症全般の知識について大変分かりやすく書かれており、依存症当事者や周囲の人はもちろん、依存症についてよく知らない人など多くの人に読んでほしいと思う内容です。

私が読んで感じたこと

この本を読んでまず感じたのは、とても分かりやすいということです。図が多用されていて、説明文も短く端的にわかりやすいことばで書かれているのでとても読みやすいです。依存症というとどうしても依存行為そのものを止めることに目が向けられがちですが、本当に大切なのは依存行為が止まったあとの取り組みだと思います。この本には依存症に至るまでには原因があること、そして回復には長期的な取り組みが必要であり、そのためにも周囲の協力が不可欠であることがとても分かりやすく書かれていて、行為を止めることが終わりではないという回復のイメージを掴みやすいと感じました。

依存行為を止めることはとても大変で達成感がありますが、そこで終わりではありません。しかし、依存行為が止まったことで「もう大丈夫!」と勘違いして回復への取り組みをやめてしまい、しばらくしてからスリップするという仲間はとても多いです。また周囲の人も、依存行為が止まると治ったと思ってしまうことがよくあります。早い段階でこの本にあるような依存症の基礎的な知識を身に着けることができれば、回復に向けた取り組みを本人だけでなく周囲も巻き込んで細く、長く、継続的に行っていく必要があることが理解できます。依存症当事者はもちろん、それ以上に周囲の人やまだ依存症について知らない人などに、依存症についての入門書としておすすめです。周囲の人の理解を促すために、依存症当事者から読んでもらうようにお願いするのもよいと思います。

実はこの本にはクレプトマニア、窃盗症などという言葉は使われておらず、行為依存についての説明でも窃盗については触れられていません。しかし、この本に書かれている依存症全般の説明について自分に当てはまることが多く、依存対象は違っても根本的な問題は同じであるということを強く認識しました。万引きの再発はもちろんですが、他の依存行為にスライドしてしまう可能性も大いにあり得るということだと思います。また、クレプトマニアに限定すると情報量が限られてしまいますが、依存症全般に目を向けるといろいろな情報を得ることができます。依存症について理解を深め、回復のイメージを持つことは回復への取り組みを継続していく上で大きな力になるのではないでしょうか?

書籍情報

監修:松本 俊彦( 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部 部長 )
出版社:講談社 発行日:2021年6月 定価:\1,400+税

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