書籍紹介『万引き女子<未来>の生活と意見』

2020年10月29日

この本はクレプトマニア本人による自叙伝で、帯には「14年間で万引き6千回(実話)」という触れ込みが書かれています。生い立ちから服役中の生活まで、とてもリアルに描かれた本です。

著者の紹介

著者の福永 未来さんは、関西在住の28歳の女性です。小学1年生から万引きにはまり、この本を出版されるまでに逮捕されること実に4回。そのうち1回は鑑別所行き、2回は懲役刑を受け刑務所に服役しています。

2016年に出所してからは、某メーカーの受付事務員として勤務されています。

本の構成(目次)

0.<元>万引き女子の生活と意見。(28歳)
1.子供のころから、小学校卒業まで。(0歳~12歳)
2.家族の肖像。
3.中学時代。(13歳~15歳)
4.高校時代。(16歳~18歳)
5.短期大学時代。(18歳~20歳)
6.社会人から結婚生活まで。(20歳~22歳)
7.初めての刑務所生活。(23歳~26歳)
8.つかの間の帰宅。(26歳)
9.4回目の逮捕。(26歳)
10.刑務所生活、再び。(27歳~28歳)
11.出所から現在へ。(28歳)
12.<元>万引き女子の生活と意見、再び。(28歳)

本の内容

この本の著者である福永 未来さんはクレプトマニアの女性です。その幼少期の家庭環境や学校生活、結婚生活などの日常生活から、拘置所・刑務所内での生活まで、著者の半生が書かれています。

著者は小学校1年生のときから万引きをするようになり、高校生の時に初めて補導されますが、その後も万引きを繰り返し、2回の服役生活を経験しています。この本を書かれたのが28歳の時ですが、そのうち14年間は万引きに依存していたそうです。万引きしていた頃のこと、家庭生活でのこと、拘置所や刑務所での辛い経験など、体験した人にしかわからないようなリアルな表現が随所にちりばめられています。そして、万引きを手放すことができるに至った心境の変化についても書かれています。

コミカルな表現で書かれている部分も多く、一度読み始めるとどんどんと読み進めたくなる内容となっています。

わたしが読んで感じたこと

この本を読んで強く感じたのは、「クレプトマニア本人じゃないと、書けないだろうな」ということです。万引きに対する考え方や捕まった時の心境など、読んでいて思わず「わかる、その気持ち!」と声をあげたくなるような共感できる部分がたくさんありました。また、拘置所や刑務所での体験も詳細に書かれています。著者は、拘置所での辛い経験によって万引きをやめようと考えるようになったと語っています。

わたしがこの本を初めて読んだのは毎日万引きをし、どうしたらやめられるのかと悩んでいた頃でした。万引きがエスカレートする一方だったので、どうやったら万引きをやめられるのか、イメージが描けませんでした。そんなときに、万引きをやめようと思えるように至るまでの心理状況が書かれたこの本を読みました。その結果、万引きをやめることへのイメージがついたというか、自分にもやめられる日が来るかもしれないと思うことができた気がします。

また拘置所や刑務所での体験も書かれているので、「拘置所・刑務所には行きたくない!」という気持ちを強くするためにも役立つのではないでしょうか。

クレプトマニアではない人が読めば誇張して書いていると思うかもしれませんが、当事者からすれば「こんな感じだな」と思うところだらけです。今風でコミカルなテンポの良い文章で、堅苦しくなく、とても読みやすい本書ですが、心に響くような記述もたくさんあります。クレプトマニア本人が書いている本は珍しいと思います。気軽にクレプトマニアのイメージを掴んでいただくのに、おすすめの一冊です。

書籍情報

著者:福永 未来 
出版社:太田出版 発行日:2017年9月 定価:¥1,300+税

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