書籍紹介『中学生までに読んでおきたい哲学② 悪のしくみ』
この本は「中学生までに読んでおきたい哲学」(全8巻)のうちの一つです。
編者の紹介
編者の松田哲夫さんは筑摩書房の書籍編集者です。「中学生までに読んでおきたい日本文学」(全10巻)の編集も手掛けており、このシリーズはその姉妹編です。この本の中では解説を書かれています。
また、案内人としてイラストレーター・エッセイストの南伸坊さんが登場され、ユーモアたっぷりのイラストで子供の素朴な疑問を描いています。
本の構成(目次)
井上ひさし … 「万引き」
池田晶子 … 「いじめの憂鬱」
河合隼雄 … 「生きる力を育てる」
結城昌治 … 「極楽往生」
倉橋由美子 … 「子供たちが豚殺しを真似した話」
寺山修司 … 「『狼が七匹の子やぎ』に冷たくされる理由」
遠藤周作 … 「善魔について」
中野好夫 … 「偽善について」
渡辺一夫 … 「偽善の勧め」
亀井勝一郎 … 「悪人の自覚」
田中美知太郎… 「悪はどこから」
宇野信夫 … 「鬼あざみ清吉」
星新一 … 「七人の犯罪者」
江戸川乱歩 … 「探偵小説に現れたる犯罪心理」
堀田善衛 … 「流血」
埴谷雄高 … 「政治について」
吉野せい … 「いもどろぼう」
吉村昭 … 「鰭紙」
本の内容
この本は、「中学生までに読んでおきたい哲学」(全8巻)のうちの一つです。このシリーズは日常の暮らしの中に潜んでいる哲学的な問いかけを探り当て、自分の頭で考えるきっかけになるような文章を集めたものです。ここでご紹介する「悪のしくみ」には「"悪"とは何か?」を考える楽しみに満ちた18編の短編が収録されています。
小学5年生以上で学ぶ漢字にはフリガナがふられていたり、文章の下部には図版入りの脚注がついていたりして、見た目はさながら教科書といった感じです。1つ1つの文章が長くないこともあり、とても読みやすい内容となっています。読みやすい文章ではあるのですが、深く考えさせられるものが多くあります。
わたしが読んで感じたこと
コロナウイルス感染拡大の影響で休校になった子供向けの本として、新聞広告に掲載されているものが目に留まり読んでみました。「万引き」ついて、中学生でもわかるようにその「悪のしくみ」を書いてあるのではないかと期待したからです。
この「万引き」には作者の井上ひさしさんが、中学生の頃に万引きしてしまった時の出来事が書かれています。
5ページの読み物で、5分もあれば読めてしまう内容です。この本に掲載されている18編の中でも、最も短い部類です。平易なことば使いで、その内容も含め一番読みやすいかもしれません。
著者は自身の体験から、「万引きは緩慢な殺人に等しい」ということがわかったと書いています。更に働いてお金を得る、お金を稼ぐということについても触れ、世の中の経済の仕組みを解いています。中学生でもわかるような「万引き」について、自分の認識が甘かったことを改めて考えさせられる内容です。
「万引きはやってはいけないこと」だということを、心の染みつかせるためにも、おすすめの本です。
書籍情報
編者:松田 哲夫
出版社:あすなろ書房 発行日:2012年7月 定価:¥1,800+税
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