摂食障害オンラインイベントで発表しました!

思うことあれこれ

2020年6月7日(日)に、一般社団法人日本摂食障害協会主催のオンラインイベント「摂食障害を考える ー私たちの主張2020ー」に、発表者の一人として参加させていただきました。

発表までの経緯

今回のイベントは、「世界摂食障害アクションディ 2020」に関連するものです。もともとは通常のイベントとして企画されたものでしたが、新型コロナウイルス感染拡大によりオンラインイベントになりました。

このイベントでは、摂食障害で困っているご本人とご家族、治療や支援に関わる人々など、様々な立場の方が「摂食障害」について自分の主張を発表することが企画され、発表者が一般募集されました。日常生活の中で考えていることや困っていること、摂食障害について広く社会に伝えたいことなど発表する人を募集していたのです。

クレプトマニアに多い発症のパターンとして、摂食障害(特に過食嘔吐)のための食べ物欲しさから万引きが始まり、そこからクレプトマニアに発展してしまうというものがあります。
(詳しくはこちら「摂食障害とクレプトマニア」)

以前から摂食障害者がクレプトマニアについて知ることで、予防や早期発見・早期治療につながるため、多くの人に知ってもらいたいと思っていました。今回のイベントは先着順での発表者の募集でしたので、ここぞとばかりに応募しました!

発表時の様子

発表時の様子はこちらです。

摂食障害を考える -私たちの主張- (34:10頃から5分程度です)

発表タイトル「摂食障害はクレプトマニア(窃盗症)予備軍です!早めに助けを求めましょう!」

発表時には220人程度の視聴者がオンラインでつながっていました。また、チャット機能もあったので視聴者からのコメントが随時上がってくるような状態でした。

視聴者からのコメントでわかったこと

発表時にはチャットで様々なコメントをいただきました。その中で摂食障害患者ご本人と思われる方から「万引きしたことがあったけど、すぐに姉に話したことでやめられた」というコメントも頂きました。この方は、早めに正直に話せたことで万引きを止められて、クレプトマニアにならずに済んだという例です。このチャットを見て、正直に話すことが本当に大事であるということを痛感しました。

また、度重なる万引きがクレプトマニアという依存症に発展するリスクがあることを知っていれば、早めに助けを求められるはずとの思いを強くしました。「クレプトマニアについてもっと知ってもらいたい。そして被害者であれ、加害者であれ、関係者であれ、万引きで苦しむ人を減らしたい」という思いがますます高まりました。

さらに発表の後にも、万引きをしてしまったけどクレプトマニアになる前にやめられたという方からtwitter経由で複数の連絡をいただきました。視聴者の数は約220人、その全員が摂食障害患者本人というわけではありません。しかも、万引きをしてしまった人全員が声をあげてくれたわけでもないと思います。そう考えると、摂食障害患者の中には万引きをしてしまった経験がある人がそれなりにいるということがわかります。

こうやって、参加者の方の声を直に聞くことは通常の会場開催ではできないことです。オンライン発表のメリットを感じた発表でした。

質疑応答時間でのやりとり

会の後半での視聴者からの質疑応答の時間があり、その中で「過食嘔吐をしている大学生の娘にお小遣いをどの程度渡すべきか?渡しすぎることで過食嘔吐を助長してしまうのではないかと悩んでいる」という親御さんからの質問がとりあげられました。その中でも、「お金が足りないことで万引きしてしまうリスクもある、実際それで万引きをしてしまった」という参加者からのコメントがあり、実体験に基づいたコメントは非常に説得力がありました。

全体の流れとしては、娘さんときちんと話をして金額を決めるべきというところに落ち着きましたが、摂食障害患者に万引きをしてしまう人が一定数いること、そしてクレプトマニアに発展する人もいることを知っているといないとでは対応が違ってくると思います。患者本人だけでなく家族や関係者にも、クレプトマニアについて知ってもらうことが予防や早期発見・早期治療につながると感じました。

クレプトマニアを漫画でわかりやすく

この発表を見てくださっていたおちゃずけさんが、クレプトマニアについてマンガにしてくださいました。非常にわかりやすく、多くの人にクレプトマニアについてご理解いただけると思います。

おちゃずけさん、本当にありがとうございます!

正直に話し、助けを求めることの大切さ

クレプトマニアを含む依存症は早期発見・早期治療が重要ですが、予防はもっと重要です。一回の万引きでクレプトマニアになってしまうわけではありません。依存状態になる前にやめる、それに越したことはありません。

今まで、摂食障害からクレプトマニアになった仲間から話を聞くことはあっても、万引きをしてしまったがクレプトマニアに至る前にやめられたという方から実話を聞くことはありませんでした。やめられた理由を伝えてくれた方は全員が「正直に打ち明けられたことをきっかけにやめられた」とおっしゃっていました。「正直に話し、誰かに助けを求めること」が本当に重要だと再認識しました。

今回はオンラインイベントでの発表、そしていろんな反応をいただいたことで、とてもいい経験になりました。クレプトマニアになってしまうリスクが高い摂食障害本人やその関係者の方に、クレプトマニアについて関心を高めていただくきっかけになったらいいなと思います。

また、「勇気ある発表をありがとう!」というような、非常に温かいコメントも頂きました。これからも、万引きで悩む人を少しでも減らすために、そして自分自身が盗らない一日を積み重ねるために、情報発信を続けていきたいと思います。

※すべての摂食障害患者が万引きをしてしまうわけではありません。 また、「摂食障害患者の万引き=クレプトマニア」というわけでもありません。