書籍紹介『彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?窃盗癖という病』

書籍情報

この本はクレプトマニアと摂食障害について書かれています。治療法や法律問題などクレプトマニア全般の知識についても書かれており、摂食障害ではないケースについても十分に役立つ内容です。

著者・監修者の紹介

この本の著者である河村重実さんはフリーランスの編集者・ライターです。主に手掛けているのは国内旅行関連の観光・グルメガイドで、普段はクレプトマニアとは全然違うジャンルです。この本は「窃盗癖を抱えた身内を持つ、ひとりのライター」として、従来の執筆活動時とは違う筆名で執筆されています。

監修者は赤城高原ホスピタル(群馬県)院長・京橋メンタルクリニック(東京都)勤務医で、医師・精神保健指定医・精神科専門医の竹村道夫さんです。

本の構成(目次)

第1章 窃盗癖と摂食障害
第2章 摂食障害の基礎知識
第3章 窃盗癖の基礎知識
第4章 クロス・アディクション(多重嗜癖)の仕組み
第5章 窃盗癖治療のために① 治療者と診療施設につながる
第6章 窃盗癖治療のために② 集団療法と自助グループ
第7章 窃盗癖と法律問題 治療中に再犯したら
第8章 窃盗癖者の弁護活動
第9章 窃盗癖治療の今後
付録 参考リンク、自助グループ、クレプトマニア・チェックリストなど

本の内容

本の帯には「当事者とその家族、医療関係者から法曹まで、『窃盗癖と摂食障害』に苦しむすべての方々へ」と記されており、クレプトマニアの基礎知識以外にも摂食障害と併発しているケースについて重点的に書かれています。また、「窃盗癖 症例ファイル」として当事者へのインタビューや座談会形式の内容が書かれており、クレプトマニアのイメージが湧きやすい内容です。

この本の著者である河村重実さんは、編集者・ライターではありますが、クレプトマニアは専門外です。クレプトマニアについて調べるようになったきっかけは、親族が窃盗癖の疑いがあるとわかったこと。そこからクレプトマニアについて調べていく中で、「一般人にもわかりやすくまとめ、同じような症状に悩まされている当事者、ならびに周囲で悩み苦しんでいる家族や親族、友人・恋人に読んでもらえるような本を作れないか」と思い立ったそうです。

そんなこともあり、文章全体が非常に読みやすいものとなっています。

わたしが読んで感じたこと

わたしは「摂食障害」の本を探しているときにこの本に出会いました。まだ万引きをし始める前のことで、この本を読んでわたし自身がクレプトマニア予備軍であることを強く認識しました。この本のおかげで自分がクレプトマニアであることを早くから認識することができ、比較的早期に医療機関につながることができました。そのため、この本に出会ったことで今の盗らない生活を送れていると言っても過言ではありません。

この本はクレプトマニアと摂食障害の関連について非常に読みやすく書いてあります。また、治療から法律問題までクレプトマニアの基礎知識についても幅広く書かれているので、摂食障害ではない人にも十分に役立つ内容となっています。赤城高原ホスピタルでの入院治療についても取り組み内容が書かれているので、入院治療がどんなものかを知りたい方も読んでみるとよいと思います。

クレプトマニアについての入門編として、おススメできる本です。

書籍情報

著者:河村 重美 監修:竹村 道夫
出版社:飛鳥新社 発行日:2013年4月 定価:\1,600+税

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