わたしのクレプトマニア経歴①

2020年10月22日

クレプトマニアとしての体験談を文章にしていきます。まずはクレプトマニアに至った経緯から書き始めたいと思います。

食べ物を安く買いたい

わたしは中学1年生の時に摂食障害になりました。拒食から始まり、たちまち過食嘔吐に移行、その後症状の波はありますが過食嘔吐はずっと続いています。

就職を機に一人暮らしをしました。4年間一人暮らしをしましたが、その時も過食嘔吐はしていました。そうするとどうしても食べる量が多くなり食費がかさみます。経済的に余裕があったわけでもないので安いお店をはしごしたり、割引になる時間を狙ってお店に行ったりとなるべく食費を抑える努力をしていました。

仕事が大変だったこともあり、一人暮らしは4年でやめ実家に戻りました。職場も変わりました。実家で生活するようになっても過食嘔吐は続いていました。過食嘔吐が生活の一部であり、それに向けて食べ物を買うことも生活の一部でした。頭の中は食べることで占められていることが多く、それに向けていかに安く食べ物を買うかを常に考えていました。仕事中でも食べること、食べ物を安く買うことが頭から離れません。何時頃にどこのお店に行けば割引品が買える、そんなことばかりを考えていました。

平日仕事のある日は昼休みや帰りにたくさんの食料品を買いました。外回りの仕事をしていたので、仕事の合間にもしょっちゅうお店を覗いていました。休みの日には車でお店をはしごして、割引になる時間を狙って買い物をしました。

少しずつズルをするように

そんな生活をしているうちに、少しずつズルをして食費を節約するようになっていきました。例えば、もう少し時間が経てば割引になる商品を事前に確保して、割引シールを貼る店員さんがくるタイミングでシールを貼ってもらうことをしました。そのうち、割引になりそうなものを確保する時間がどんどん早まり、事前に確保して棚の奥に隠すなんてこともするようになりました。自分でもけち臭い、やらなきゃいいのにとは思っていましたが、気になってしまいお店に行かずにはいられないんです。

値引きシールの貼り替えもやりました。買った商品についていた割引シールを丁寧にはがし、次にお店に行くときにわざわざ持っていき別の商品に貼りました。このころには店員さんの目を盗んでズルをすることのスリルを楽しんでいたのかもしれません

万引きに至らずとも、ズルの質・量ともに徐々にエスカレートしていきました。

クレプトマニアの存在を知る

そんなころ、本を読んでクレプトマニアの存在を知りました。「彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?」という、摂食障害からクレプトマニアに至ることが多いことについて書かれた本です。摂食障害関連の本を探していて見つけたと記憶しています。

この本を読んで、「わたしは確実にクレプトマニアに近づいている」と思いました。なんとかして食費を抑えたいと思っていることや、頭から食べ物のことが離れないことなど思い当たることがたくさん書かれていたからです。「これはまずい、万引きしちゃいけない。クレプトマニアになってはいけない。」と思いました。

今思えば、もうこのころには考え方がおかしくなっています。このころはサンプル品(本物)を盗るようになっていました。「これはサンプルの役目を終えたら捨てられてしまう、本物なのにもったいない」、「もう残っている商品はないからサンプルがなくなっても問題ないな」などと訳のわからない理論で自己正当化し、サンプルを持ち帰っていました。自分の中では、「売り物ではないから万引きではない」という言い訳でした。あらゆる方法で、クレプトマニアであることを否認しようとしていたのだと思います。

そんなときに、自分の気持ちが大きく揺らぐ出来事が起こります。サンプルを盗るようになってしまった頃、ある本で万引きの定義を見ました。そこには“商品見本(サンプル)を盗ることも万引きになる“ということが書かれていたんです。それを読んだとき、「あ、わたしはもう万引き犯なんだ。」と心の中で何かが音を立てて崩れていくような感覚がありました。万引きはダメだと歯止めになっていた堤防に、大きなひび割れが入ったような感覚でした。

お気に入りの揚げパンがなくなった

それでもお店の売り物を盗ることはしないようにと、必死にこらえていました。そんなとき、いつも買っていたお気に入りの揚げパンが販売中止になってしまったのです。パンの耳を揚げたものなんですが、たくさん入っていて、しかも売れ残って安くなることが多く買いだめをしていました。それが販売中止になってしまったのです。他の人からすればなんてことないことだと思いますが、食費を抑えることに躍起になっていたわたしにはとてもショックな出来事でした。そして、「なんで販売中止になったんだ!」という、やり場のない怒りのような感情がこみ上げてきました。

それと同じころにもうひとつの大きな出来事が起こります。パン売り場を見ていたら、賞味期限が切れたパンが置いてあったのです。この時は正直に店員さんに申告し、安く売ってほしいと交渉しました。しかし断られ、店員さんはそのパンを裏に持って行ってしまいました。この頃は「食べ物を捨てるくらいならわたしにくれ!」と強く思っていたので「あー、捨てられてしまうのか…。」とすごく残念に思ったことを覚えています。

しばらくしたある日、また同じように賞味期限の切れたパンが売り場に並んでいました。そのパンを手に取ったわたしは、パンをバッグの中に入れてしまいました。「どうせ捨てられてしまうんだから、わたしがもらってもお店は損しないからいいだろう」という、歪んだ認知による正当化で自分を納得させていました。 こうやって、万引きを抑えていた心の堤防の割れ目から水が漏れてしまいました

こうなると、もう堤防は機能せず一気に崩れていくことになります

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