クレプトマニアだと友人に打ち明けてみた

わたしの実体験,思うことあれこれ

先日大学時代の友人にクレプトマニアだと打ち明けてみました。その時のことを書きたいと思います。

Aは大学時代の友人

先日会った友人のAは大学時代の友人です。わたしがAの職場近くまで行き、昼休みの時間に会うなど、最近は2~3か月に1度くらいの頻度で会っています。

わたしとAは見た目や性格は全然違います。Aはロングヘアーで普段からスカートを履くような女性らしい雰囲気、一方わたしはベリーショートでパンツスタイル、良く言えばボーイッシュ。Aはどちらかというとおっとりしている感じで、わたしはさばさばしているタイプ。タイプは明らかに違います。

でも、何か話しやすいんです。お互いに2人姉妹だったり、親の出身地や年齢が近かったりと家庭環境が似ていることもあるのかもしれません。さらに聞き上手というか、話を受け止めてくれる感じでとても気が楽。そんなこともあり、話始めるといつもあっという間に時間が過ぎてしまいます。大学のサークルで知り合ったのですが、活動頻度が高かったので多くの時間を一緒に過ごしました。

急遽会えることになった

そんなAから、近くに行く用事があるから会わないかとお誘いをもらったのは会う2日前。基本的に予定がないことが多いわたしは、二つ返事で承諾しました。Aの昼休みに会うときはどうしても1時間程度しか話せないので、久しぶりにゆっくり話せることになりました。それなりの頻度で会っているし、特に飾ることもない間柄なので、何を話そうかと身構えることもありませんでした。

近況報告をしあう中で

冷たい雨の中、時間通りに待ち合わせると近くのコーヒーショップに入りました。コーヒーを飲みながら近況報告をしあっていました。すると、話の流れで最近のわたしのことに。うつになったり、仕事をしていないことを知っているAは何かとわたしのことを気にかけてくれているんです。今回の会うことが決まる前に、わたしはAに「やりたいことがみつかった」ということを伝えていました。そんなこともあり、Aから「やりたいことってどんなことなの?」と聞かれました。

ちょっとドキッとしました。わたしが見つけたやりたいこととは、「クレプトマニア当事者としての情報発信」。それを伝えるということは、わたしがクレプトマニアだと打ち明けることになります。家族や自助グループなどのクレプトマニアの仲間以外に、自分がクレプトマニアだと打ち明けたことはほとんどありません。やはり、クレプトマニアだと打ち明けることに抵抗感があるのは事実。どこまで伝えるべきか、ちょっと考えました。

最初は「自分の病気のことでホームページを作ったんだよ」と伝えました。Aには摂食障害であることは伝えていたので、おそらくAは摂食障害のことをテーマにしていると受け取ったと思います。でも、何かもやもやしました。何を畏れて隠そうとしているのかな?と。

そしてほどなく、思い切って「これなんだ」と、ホームページを開いたスマホを渡しました。Aが画面を見てくれている間、ドキドキしているのが自分でもよくわかりました。わたしがクレプトマニアであると知って、どんな反応が返ってくるか、不安だったからです。

予想外の反応

Aはしばらく画面を見てくれました。驚いて、言葉を失っているようにも見えました。時間がとても長く感じました。そしてゆっくりと読み進めてから、「そうだったんだね」と。その言葉はとても温かく、わたしの不安を吹き飛ばしてくれました。「クレプトマニア」のことは知らなかったそうですが、わたしが依存症だということ理解してくれました。すると、「実はね…」と、Aも家族が精神的に辛い時期があり、それをサポートするためにいろいろと情報収集をしたということを話してくれました。

精神的な病気は患者本人だけでなく、周囲にも辛い思いをさせてしまうことが多いです。一緒に悩んでくれる家族も辛い思いをすることが多いのです。Aは家族として辛い時期があったことを話してくれました。わたしはAがそんな辛い思いをしていたとは、ちっとも知りませんでした。

精神的な辛さを知っている人の温かさ

Aの話を聞いて、Aが家族の問題と真摯に向き合っていたということがすごく伝わってきました。だからこそAは家族として辛い思いをしたのだと思います。そして、その経験があるからこそわたしの精神的な辛さを、共感を持って受け止めてくれたのだと思うのです。2人で涙を流しながら、お互いの話を聞きました。わたしの涙は辛い時期を思い出したというよりも、精神的な辛さを共感してくれたうれしさからあふれ出たものでした。

打ち明けてよかった

Aにクレプトマニアだと打ち明けたこと、そして温かく受け止めてくれたことでわたしは話をしてよかったと思えました。そして、心のもやもやが一つとれました。自分の過去を伝えても離れていかずにいてくれるということが本当にありがたかったです。これは依存症からの回復、盗らない一日を過ごすうえでとてもプラスになることです。受け止めてもらったからこそ、万引きを繰り返す生活に戻りたくないという思いを強めることができました。

今回話をして、程度の差こそあれ本人や身近な人をサポートする上で精神的に辛い思いをした人は結構いるのではないかと感じました。そして辛い思いをした人の理解や共感は、とても温かいです。弱っている自分を見せたくないとついつい強がってしまいますが、自分の弱さをさらけ出すことで、相手の本当のやさしさに触れることができたように思います。

クレプトマニアの依存行為は犯罪、しかも被害者がいる犯罪です。許されることではありません。だからこそ、今後万引きに依存しない方法を考え、盗らない生活を送っていかなくてはならないと思っています。これから先、どうしたら依存症から回復できるのかを考えていくうえで周囲の理解というのはとても大きな役割を果たすと強く感じました。

最後に

「A、突然のカミングアウトを温かく受け止めてくれて本当にありがとう。 あなたのやさしさを無駄にしないためにも、盗らない一日を積み重ねる努力を続けていきます。」

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