クレプトマニアの自助グループ

回復への取り組み

クレプトマニアなどの依存症治療に効果的とされているのが自助グループです。わたしもクレプトマニアの自助グループの運営や依存症のオンラインミーティングへの参加を続けており、仲間から大きな力をもらっています。

自助グループとは

自助グループとは「なんらかの障害・困難や問題、悩みを抱えた人が同様な問題を抱えている個人や家族と共に当事者同士の自発的なつながりで結びついた集団(Wikipediaから引用)」です。特定の障害など共通の問題を持つ者同士が互いに励ましあいながら、その問題を様々な形で克服していくために活動しています。 もともとは1930年代のアメリカでアルコール依存症の仲間が集まって始まったもので、日本でも依存症の自助グループなどが活動しています。

病院に通っていなくても本人の回復したいという思いがあれば参加することができます。 また、自助グループへの参加は、医療機関での治療と並行して行うことも可能です。 自助グループの主な取り組みはミーティングの開催です。

自助グループについては情報サイト「自助グループポータル」に詳しい説明が書かれています。

自助グループポータル

自助グループ(ミーティングへの参加)の効果

依存症の回復には自助グループへの参加が効果的と言われています。

クレプトマニアに効果的な薬物療法はなく、自助グループなどのミーティングが治療の中心に据えられることが多くなります。ミーティングへ参加する目的は、他のクレプトマニアの話を聞いて共感したり、他人の姿を通して自分の病気への認識を深めることなどがあります。依存症は社会的マイノリティが抱えた問題であることが多く、人前で話しにくかったり、話しても理解や共感を得られにくいものです。犯罪行為であるクレプトマニアは特にその傾向が強いです。ミーティングの基本は「言いっぱなし・聞きっぱなし」、他者から批判されることはなく、安心して気持ちを吐き出すことができます。「万引きがやめられない」、「お店に入るとついつい盗りたくなってしまう」、「昨日も万引きをしてしまった」などということは簡単に口にできることではありません。 しかし共通の問題を抱えた当事者同士なら、お互いの経験や考え方に理解できるものが多く、共感を得ることができます。自助グループで自分を受け入れてもらい居場所を得る体験が、自分で自分を受け入れることにつながっていきます。そして自助グループへの参加を継続することで、受け入れがたい現実と向き合う力がついてくると考えられています。 また先行く仲間(回復者)に出会うことができ、自らの回復の可能性を感じたり、信じることができるようになる人もいます。仲間の体験談には参考になることがたくさんあります。リアルな生の声を聞くことは、書籍やインターネットから得る情報には変えられないものがあります。

自助グループの効果の一つが「所属意識」を持つことです。依存症は「孤立の病」とも言うくらい、孤独感を抱くことがマイナスに作用します。家族や職場、友人関係など人とのつながりが絶たれてしまうと「わたしが万引きしたところで、誰も何とも思わないでしょ」などと、自暴自棄になってしまいやすいからです。自助グループに参加し、人とのつながりができると受け入れてもらえる場所がある安心感が生まれ、こころが安定すると思います。また、「一緒に盗らない生活を目指して頑張っている仲間を裏切りたくない」という思いは大きな抑止力になり得ます

クレプトマニアなどの依存症を1人で回復させることは大変難しいです。「addiction(依存症)の反対はconnection(つながり)」というくらい、人とのつながりは大切です。ミーティングで窃盗がやめられないことの苦労や回復の喜びを分かち合うことは、とても気持ちを楽にさせます。また、所属意識を持てるだけで全然違います。悩みや回復の喜びを共有できる仲間の存在が、回復の助けになると考えられているのです。

クレプトマニアの自助グループ KA

クレプトマニアの自助グループとして KA(Kleptomaniacs Anonymous) があります。いわゆるアノニマス系グループの一つです。アノニマス系グループとはAA(Alcoholics Anonymous)というアメリカで誕生し、世界各国に広がったアルコール依存症の自助グループを源流とした依存症からの回復を目指す自助グループで、12ステップと12の伝統という教義に基づいて活動しています。しかし、実際のところKAはその教義から離れた活動をしているところもあり、「クレプトマニア当事者が集まる自助グループ」くらいに捉えていただくとよいと思います。

KAのAnonymousは「無名の」・「匿名の」・「名を伏せた」という意味があります。自助グループであるKAはその名の通りanonymity(匿名性)を大事にしています。参加者は anonymous nameと呼ばれるニックネームを自分で付けお互いにそれで呼び合うことで匿名性を保っています。参加できるのはクレプトマニア当事者のみ、クレプトマニアから回復したいという思いがあれば参加できます。医療機関にかかっていなくても、警察に捕まっていなくても、窃盗をやめられない状態から抜け出したいという思いがあれば参加できます

ミーティングでは話をしたい人から順番に話をしていきます。言いっぱなし・聞きっぱなしが原則で他者から意見されることはありませんし、話をしなくなければパスをすることもでき、聞くだけの参加も可能です。またミーティングの内容は外には漏らさないことでお互いの安全性を守っています。そこではクレプトマニア当事者同士だからこそ分かり合えるような本音が語られ、話すこと・聞くことで得られることが多くあります

自助グループへの参加方法

自助グループへの参加は、特別な申し込みの必要はなく、会場に直接足を運べば大丈夫です。自発的に集まっているのではっきりとした連絡先がない自助グループが結構あります。最初は勇気がいりますが、ホームページなどの情報を頼りに直接現地へ足を運びましょう。

とはいっても不安な場合は、ホームページに連絡先があれば連絡してみるのもよいと思います。返信がくるまで時間がかかることもありますので、焦らずに…。

現在活動しているクレプトマニアの自助グループ

赤城高原ホスピタルのホームページに「KAの設立と発展」というページがあり、そこから現在の活動状況を知ることができます。

また仲間のみとさんが作ってくださったこちらのページにわかりやすく掲載されています。ー「KA一覧

KA以外にもクレプトマニアの自助グループとして活動している団体もありますので、検索してみてください。

オンラインミーティングを活用する

コロナの影響で通常のミーティングが開催できなくなったことをきっかけに、オンラインミーティングが多く開催されるようになりました。オンラインミーティングであれば、地域を問わず参加できます。またカメラをオフにして顔を出さなくても参加できるので、身元が割れることに不安がある方も参加しやすいと思います。聞くだけの参加というのも可能です。

2022年2月から、わたしがホストとなりクレプトマニア当事者のみが参加できる「Room K」を開設しています。

通えるクレプトマニアの自助グループがない時には

クレプトマニアの自助グループは数が少なく、通いたくても通えない人も多いと思います。そんな時は、AA(アルコール依存症の自助グループ)やGA(ギャンブル依存症の自助グループ)など違うアディクション(依存行為)の自助グループに参加してみるのもよい方法です。というのも、依存症者はアディクションは違っても根本に似たような問題を抱えていることが多いからです。アディクションが違っても、依存症仲間の話を聞くことはとても意味があることです。

ミーティングには「クローズド・ミーティング」と「オープン・ミーティング」の2つがあります。クローズド・ミーティングというのは当事者のみが参加できるもので、クレプトマニア当事者しか参加できないKAはこれにあたります。一方、オープン・ミーティングは誰でも参加できるもので、当事者でなくてもご家族や違うアディクションの人なども参加できます。違うアディクションのミーティングに参加する場合には、オープン・ミーティングを探してみましょう。ホームページなどに明記されている場合もありますが、心配であれば一度問い合わせをしてみるとよいと思います。

自助グループについてはこちらのサイトにも紹介されており、自助グループの検索などもできます。

自助グループポータル…当事者の当事者による当事者のための自助グループ情報サイト

各種依存症のオンラインミーティングは依存症啓発団体ASKのホームページで紹介されています(依存症オンラインルーム)。
他にも様々な団体でオンラインミーティングが開催されています。ぜひ検索してみてください。

依存症仲間の輪を広げることの意味についてはこちらにも書いています。

続けることが大切

参加者の顔ぶれによってグループの雰囲気も様々です。

自助グループでは正直に自分の内面を明かす人も多く、初めて参加する人はその迫力に圧倒されてしまうこともあるかもしれません。また、長く参加を続けている人は話すことに慣れているため、初めて参加する人はその様子を見て「わたしはあんなにうまく話せない」と怖気づいてしまうこともあり得ます。そんなことから、参加当初は「自分には合わなそうだ」と感じてしまうこともあると思います

中には別のグループを探したほうがいい場合もありますが、判断は急がないほうが良いと思います。最初の1~2回、あるいは5回くらいは違和感を持つことも多いです。少なくとも3回以上は出席する努力が必要と書かれた本がありましたが、個人的には5回くらいは続けてみてもよいのではないかと考えます。

なぜこんなことを書くかというと、自助グループに通い続ける人・定着する人がとても少ないからです。 多くの場合はその自助グループがあっていないのではなく、「効果が出る前に諦めて通わなくなてしまう」のだと思います。 一度効果を感じて通うようになると、長くつながり続ける人が多くなります。月に一回は仕事の合間を縫って参加するなど、参加頻度は低下してしまってもつながろうするのです。また、しばらく通い続けていたが「もう大丈夫だと思った」・「仕事の都合で通えなくなった」など何らかの理由で通えなくなった人がスリップ(再発)して再び通うようになったという例も多くあります。

とにかく、続けることが大切と言えるでしょう。

早めの対策と続けることの大切さはこちらにも書いています。

一人でも多くのクレプトマニアに悩む方が自助グループにつながってほしいと考えています。「ここでも自助グループやっています」・「内容が間違っています」など、掲載情報に不備・不足がある場合は運営者までご連絡ください。また、自助グループ参加などについてご質問があればお気軽にどうぞ。
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関連する項目はこちらです。