家計簿はつける?つけない?

2020年9月28日

万引きをするのが当たり前の生活をしていると、金銭管理がおろそかになり金銭感覚もマヒしてしまいます。ちゃんと買う生活に向けて、正しい金銭感覚を身に着けるために家計簿をつけるという方法があります。

入院時のルール

わたしが入院した病院では家計簿(現金出納帳)をつけることがルールになっていました。

基本的にクレジットカードや電子マネーの使用は禁止で使っていいのは現金のみ。病院外のお店や院内の売店で買い物をした場合は、その商品を病棟に持ち込む際にナースステーションで看護師によるチェックを受けます。
持っている商品とレシートを照合し、きちんと購入しているかを確認します。さらに、抜き打ちで看護師によるチェックが入り、家計簿に記載されている額と手持ち金にずれがないかを確認します。1円でも合わなければ、合わない額を没収されます。金銭管理について、看護師が監督してくれるのです。

クレプトマニアが家計簿をつける意味

入院時に家計簿をつける理由は主に2つ。

一つは防犯目的、現金の院内窃盗が起こらないようにするためです。クレプトマニアは依存症、入院したからと言って急に窃盗欲求が収まるわけではありません。お店がないから万引きしなくても、窃盗欲求が院内の物品に向いてしまうことがあるのです。わたしも入院中に現金ではありませんが、窃盗の被害者になるという経験をしました。入院中は現金だけでなく、所持品についてはすべてリスト化し、定期的に看護師による荷物検査を受けます。

もう一つの目的は、患者に正しい金銭感覚をつけさせることです。当たり前のように万引きをしていることで何がどのくらいの金額で買えるのか、感覚がマヒしてしまっている人がいるからです。買ったものとその金額を照らし合わせることで金銭感覚を身に着け、さらに手持ちの金額内のものしか得られないということを学習していきます。また手に入れたものに見合った金額を払う、その分お金が減るのは仕方ないというごくごく当たり前の感覚を身に着けていきます。人によっては家計簿をつけきちんと金銭管理をし、具体的な金銭の動きがわかることで、漠然としたお金に対する枯渇恐怖が減り、お金を使うことはビビるほどのことではないと感じられる場合もあると思います。また、何を買ったかを再確認することで手元にあるものを把握しやすくなります。その結果、ものに対する枯渇恐怖が減るという効果が期待できます。

家計簿をつけるデメリット

入院中は家計簿をつけることがルールになっていますが、家計簿をつけることがマイナスに作用してしまう場合もあります。

家計簿をつけると出費が明確になるので、お金が減っている感覚が強まることがあります。枯渇恐怖が強く、お金が減ることに強い恐怖を感じる人にとっては恐怖心をあおることになり、結果的に窃盗欲求を強めてしまう可能性が考えられます。また、家計簿をつける時には予算を立てることがありますが、これも窃盗欲求を強めてしまう可能性があります。クレプトマニアには自分で決めたルールを良くも悪くも厳格に守ろうとしがちな人が多くいます。予算内に収めるというルールを決めると、予算を越さないようにするため、盗ってしまおうという気持ちが強くなることも考えられます。

メリット・デメリットを考慮したうえで、家計簿をつけるかを決めるとよいと思います。

わたしの場合は家計簿をつける目的が変わった

わたしは小学生の頃から家計簿(お小遣い帳)をつけていました。小さいころ、お小遣いをもらうようになった時の親との約束がお小遣い帳をつけることでした。そのこともあって、ずっとつけています。母もずっと家計簿をつけていて、それを見て育ってきたことも影響していると思います。

毎日万引きしていた頃はほとんどお金を使わなかったので、家計簿はさぼっていたも同然かもしれませんが、出費が少ないなりにつけることはつけていました。

入院治療を経て盗りたい気持ちが起こらなくなった退院後、家計簿をつけるかどうか迷いました。わたしは予算などのルールを決めると、かなりきっちり守りたくなる性格です。そのため、予算を越えそうになったときにお金を使いたくないという思いから、窃盗欲求が強くなる可能性があると思ったからです。万引きをするようになる前から、いかに食費を節約するかに囚われていてスーパーをはしごするような生活をしていました。食費の予算を守ること、さらには出費を減らすことに異常なほど執着し、それがクレプトマニアにつながったという経緯があるため、出費が明確になることに不安があったのです。しかも基本的にケチなので金銭感覚もそれなりにあり、家計簿をつけないからと言って湯水のようにお金を使ってしまうということは考えにくい状況でした。同じような考えから、退院後は家計簿をつけていないが特に問題なくやっているという仲間の話も頭にありました。

いろいろと迷いましたが、結果的に退院後も家計簿をつけています。パソコンで付けているので、合計金額は自動計算で自分で計算する必要はありません。月の合計など、大きな金額を見るとお金を使うことへの罪悪感や枯渇恐怖が強まる可能性があるので、あまり見ないようにしています。また予算設定をすると、オーバーしたときに赤字で表示される機能があるのですが、それによって盗りたい気持ちがあおられないように高めの予算設定にして赤字にならないようにしています。

家計簿をつけることの目的が「(金銭管理をして予算という)ルールを守る」ことから、「ルールがあってもあまり気にしない」ための練習にシフトした感じです。今は「自分ルールを緩める練習」と思うくらいの楽な気持ちで家計簿をつけています。

金銭管理方法を再考する

万引きを繰り返していれば、「お金が減らずにものが手に入る」という不自然な状況が当たり前のようになってしまいます。これは明らかに異常であり、あってはならないことだと認識する必要があります。

今までの金銭管理の方法を見つめなおし、盗らない生活を送るために自分に合った方法を模索してみるとよいのではないでしょうか?