当事者だからこそできることをやりたい

思うことあれこれ

クレプトマニア当事者だからこそできること、やっていきたいと思っています。

クレプトマニア」をご存じですか?

日本語では「窃盗症」・「病的窃盗」などと言われます。簡単に言えば、「盗みがやめられない」状態です。万引き、置き引き、スリ、ロッカー荒らし…。その窃盗行為は多岐にわたります。

クレプトマニアは依存症の一つです。「わかっちゃいるけどやめられない」、簡単に言えばそういう状態です。考え方がずれてしまっている、認知の歪みがある状態です。「お店のものはお金を払って買う」とか、「他人のものは盗ってはいけない」という当たり前のことがわからないのです。

わたしはクレプトマニアです

わたしはクレプトマニアです。摂食障害(過食嘔吐)もあります。自分が食べるものを万引きをしていました。
今は症状が落ち着いていて、盗らない一日を積み重ねることができています。

わたしは万引きをするようになってから、約2年間、毎日のように万引きをしていました。いわゆる万引きGメンに見つかったこともありました。警察沙汰になったこともありました。それでもやめられませんでした。盗り続けていました。

自分ではどうしようもできない状態から、入院生活を経て盗らない一日を送れるようになりました。
その一日一日を積み重ねて、今に至ります。決して治ったわけではありません。今は症状が治まっている状態であっていつまた盗り始めるかわかりません。油断も過信も禁物です。

盗らない一日を積み重ねる

わたしは医療機関につながったり、自助グループに参加するなどしていく中で万引きをしていたことを後悔するようになりました。正直、それまではそのような気持ちはなかったのです。被害店舗に申し訳ないという気持ちを持つようになり、少しでも穴埋めをしたいと思い、郵送で被害弁済をしました。

しかし、受け取ってもらえない店舗が多くありました。そりゃそうですよね。お店側にしてみれば、何をいまさらって感じだと思います。贖罪(罪償い)さえもさせてもらえない、本当に情けなく思いました。

当事者であるわたしにできること

過去の出来事は変えられません。でも、ご迷惑をかけた店舗に罪償いがしたい。そのために今のわたしにできることは何か?そう考えたとき、万引きを未然に防ぐことなのではないかと考えました。わたしが盗らない1日を積み重ねていくこと、そしてほかの人の万引きを未然に防ぐこと。そのためにクレプトマニア当事者であるわたしができることは何か…。

その中で考えたのが情報発信です。

普通の人と感覚がずれてしまっているので、クレプトマニアの考え方を理解してほしいとは思っていません。理解してもらえるような説明はできません。ただ、そういう人がいるということを知ってもらいたいのです。また、クレプトマニアであることに気づいていない人に情報を届け、盗らない一日をすごすための手助けをしたいのです。

目的は万引きを減らすこと

病気だからと言って、窃盗が許されるわけではありません。病気を理由に罪が軽くなるとも思っていません。しかし、万引きをしてしまう理由が病気だからということがわかったら、万引きをやめるための方法も変わってきます。そういう点でクレプトマニアを知ってもらうことに意味があると思うのです。

「加害者であれ、被害者であれ、その関係者であれ、万引きで悩む人を減らしたい。」
「クレプトマニア(窃盗症)を知ってもらうことで万引きを未然に防ぎたい。」

この軸をぶらさずに、情報発信をしていきたいと思います。