「依存症とは、人に依存できない病気」

2020年9月28日

依存症の人は、人に頼ることが苦手な人が多いです。人に弱みを見せる強さがない状態とも言えます。

「依存症」はイメージがしにくい

「依存症」という病気はイメージがしにくいものです。 病気と言っても、熱が出るとか血圧が高くなるというような客観的なデータが出るものではありません。

依存症がどんなものかを説明するのにいろんな表現があります。その中の一つに「依存症とは、人に依存できない病気」という表現があります。この表現は依存症の人、依存症になりやすい人のイメージを膨らませやすい表現だと思います。

人は誰でも何かに依存している

依存とは、”他のものにたよって成立・存在すること”です。程度の差はありますが、人は何かしらに依存しているのだと思います。そして、依存が自分の意志ではコントロールできずに、ある事柄に病的なレベルまで依存している状態が依存症だと言えると思うのです。

生きていく上で、何かに依存するのは普通のことです。何かに頼りながらうまく生活しているんだと思います。スポーツや習い事などの趣味や興味も、その方法に依って気分転換・ストレスを発散している点で依存ということができます。依存できる事柄が複数あって適度に依存を分散できれば、特定の事柄に病的なレベルに依存してしまう「依存症」までには至らないと思うんです。

依存症になりやすい人は、この依存先を適度に分散させるというのが下手です。依存できる趣味や興味を持ち合わせていないことが多々あります。

依存症の人は人に頼るのがうまくない

そして何より人に依存すること、人に頼ることが苦手な人が多いように感じます。人に頼らず、自分で頑張ろうとして自分を追い詰めてしまうタイプです。頑張り屋や完璧主義の人にこの手のタイプが多いと思います。

人に依存できないと依存を分散できず、特定の事柄に病的なレベルに依存してしまいやすいのではないかと思うのです。そして、人に依存できたとしてもその距離感がうまくいかないことがよくあります。人への依存も、病的なレベルにまで依存してしまうと「共依存」と呼ばれる状態になります。人に頼れないという距離がありすぎる状態になってしまったり、はたまた近づきすぎて共依存になってしまったりと、人との距離感が上手く取れないのです。

適度に人に依存するために必要なこと

人に頼ることが苦手な人の多くは、他人に弱さを見せたくないという思いが強いです。つらい状況でも自分で何とかしようと、誰にも頼らずに一人で頑張ってしまうことが多々あります。弱いところを見せたくないと強がって、常に強い自分でいようとしている、虚勢を張っている状態ともいえるでしょう。

でもそれって本当の強さではなく、ただの強がりです。めちゃくちゃ脆い、ただの強がりです。本当の強さって、「自分の弱さを認められる強さ」自分の弱みを人にさらけ出せる強さ、それが本当に必要な強さだと思います。

人に依存できない人は、弱みをさらけ出すのに必要な「本当の強さ」を持ち合わせていないのだと思います。

弱さをさらけだすことが依存症を回復へと向かわせる

依存症の回復に向けて有効な取り組みに自助グループへの参加があります。

自助グループとは「ある障害を持つ者同士が互いに励ましあいながら、その障害を様々な形で克服していくための集団」のことです。アルコール依存症の自助グループであるAA、薬物依存症の自助グループであるNAなど、依存症にも多くの自助グループがあります。多くの自助グループでは定期的にミーティングが行われます。ミーティングは当事者のみが参加できるというものが多く、その内容は言いっぱなし・聞きっぱなしで他者から意見されることはありません。またミーティングの内容は外には漏らさないルールです。そこでは当事者同士だからこそ分かり合えるような本音が語られます共通の悩みを抱える者同士で、弱さをさらけ出す練習をする感じです。

わたしもKA(Kleptomaniacs Anonymous)というクレプトマニア(窃盗症)の自助グループに参加していますが、参加し始めた当初は自分の弱さをさらけ出すような話をすることはできませんでした。参加を続けることで、他の仲間が自分の弱さをさらけ出すことを目の当たりにしました。 そして少しずつ自分の弱さをさらけ出すことができるようになってきたように思います。

他人に自分の弱さをさらけ出せるようになって、気持ちが楽になりました。弱さをさらけ出して、人に頼ることは悪いことではないと思えるようになりました(まだまだ苦手ではありますが)。そして、KAで自分をさらけ出す練習をしたことで、家族や親しい友人など、さらけ出せる相手が広がってきています。こうやって弱さをさらけ出して、人に依存できるようになることが依存症の回復につながっていくのではないかなと感じています。

人に依存するためには人とのつながりが必要

いくら弱さをさらけ出せる自分になっても、さらけ出せる相手がいなくてはどうしようもないです。依存症の回復には人とのつながりが不可欠です。

ストレスの多い現代社会では、今後依存症は増えると言われています。最近、高齢者の万引きが問題になっています。認知症の影響によるものもありますが、より問題視されているのは依存症であるクレプトマニア(窃盗症)の高齢者が増えていることです。その背景には、高齢者の孤立化の影響が考えられます。人とのつながりがより重要な意味を持つようになると言えると思います。

家族、友人、仕事仲間、SNSを利用したつながりなどいろんな方法があります。依存症は一人では回復できません、人とのつながりが必要です。わたしもクレプトマニアの情報発信を通じて、つながりを生み出していきたいと考えています。そのつながりがわたし自身や他の仲間が、盗らない一日を積み重ねることへの力になれたらうれしいです。

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