盗りたくなる状況を把握する

盗らないための工夫

自分で盗りたくなる状況を把握できれば、コントロールもしやすくなると考えられます。「盗っているときのことなんか、考えたくもない。」と思うかもしれませんが、対策を立てる上で自分の状況を分析することは大切だと思います。

盗りたくなるもの

わたしの場合、万引きしていたものは食べ物だけでした。それ以外、例えば洋服・日用品などは盗りたいと思うことはなく、購入していました。本ばかりを盗る人もいますし、洋服ばかりを盗る人もいます。また、盗るときはものにこだわっているわけではないという人もいます。

盗りたくなるものを取り扱っているお店に行くときには、十分に気をつけましょう。そのようなお店にはいかないというのも一つの方法です。

盗りたくなる場面(外的要因)

盗りたくなるものが置いてある売り場に行くときは注意が必要です。本屋、洋服屋、文房具売場、食品売場などなど、場所が限定できた方が気を付けやすくなると思います。

どんな状況で盗りたくなるかも考えてみましょう。お客さんが多い時・少ない時、どちらの方が盗りたくなりやすいでしょうか?品物が山積みになっているときと残りわずかなとき、どちらが気になりますか?警備が甘い方が盗りたくなりますか?それとも、警備が厳しい方がスリルがあってそそられますか?

詳しくわかればわかるほど、その状況を避ける対策が立てやすいです。

盗りたくなる時期

年末年始やクリスマスシーズンなど、街が華やかになる時期は誘惑が多いです。また、バーゲンシーズンも誘惑が多いと言えるでしょう。季節で言えば冬は厚着になり、盗ったものを隠しやすいので盗りたくなりやすい時期だと思います。さらに、寒さは心理的な飢餓感を高めるのではないかと個人的には感じています。

いろんな要因が重なるのが、12月です。年末で仕事が忙しく、ストレスがたまりやすい時期です。さらに街は華やかで誘惑が多く、忘年会などでお酒を飲むこともあります。ボーナスが入り、気持ちが大きくなり油断しやすいです。

人によって異なるとは思いますが、特に盗りたくなる時期がないか、考えてみることをお勧めします。

盗りたくなる自分自身の状況(内的要因)

盗りたくなる自分自身の状況としてよく言われるのが、HALTです。HALTとはH…hunger(空腹)、A…anger(怒り)、L…loneliness(孤独)、T…tired(疲労)という依存行為に走りやすくなる状況の頭文字をつなげたものです。お腹が空いていて、イライラしてて、疲れているときに、一人でお店に行くというのは結構危険です。仕事でいつも以上に疲れたときは注意が必要と言えそうです。

他にも眠い時や、お酒を飲んだ後なども注意が必要という人もいます。また、仕事がうまくいかなかったときやものをなくした時など「損した気分になっているとき」はその穴埋めに盗ってしまおうという気持ちになりやすいです。自分自身がどういう状況になった時に盗りたくなるのか、考えてみるとよいと思います。

内的要因を感じられるのは自分自身だけです。自分自身の内からの声に耳を傾け、行動していくことが大切だと思います。

認知の歪みが出る瞬間

認知の歪みとは「考え方の偏り」のことです。クレプトマニアの多くは偏った考え方で、窃盗行為を正当化します。認知の歪みを「言い訳材料」、「自己正当化理論」ととらえるとわかりやすいと思います。認知の歪みが出る瞬間とは、「盗っちゃってもいいや」と思う瞬間です。それどころか、「盗ろう」「盗らなくては」と考えることもあります。

クレプトマニアに多く見られる認知の歪みに「損得勘定」があります。「無駄な出費があって損をしたから、その分万引きしてもいい」といういうような損した分を盗ることで穴埋めしてもよいという言い訳です。「努力が報われないときに損した気分になる」、「電車が遅れているときなど予定が狂わされた時に損した気分になる」など、どういうときに損した気分になるのかは人によって異なります。そして、その「損した気分」が盗っちゃってもいいやにつながってしまうのです。

わたしの場合は「もったいない」と思ってしまうと、認知の歪みがさく裂します。それが端的に表れるのが、閉店間際のお総菜売り場です。「売れ残ったら捨ててしまう、それはもったいない」、「捨ててしまうくらいなら、盗ってもいいだろう」と自己正当化理論を展開して万引きをしていました。

万引きを正当化してしまいがちな場面を把握し、「それは違うぞ」と考え直せるとよいと思います。

敵が出てくる場面にはガードを固める

盗りたい欲求が出てくる場面が把握できれば対応はしやすいです。いきなりパンチが飛んで来たらガードするのは大変ですが、パンチが飛んでくる可能性が高いと認識できていればガードを固めておくことができます。

万引きしている場面と向き合うのはしんどい作業かもしれませんが、やるだけの意味はあると思います。

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