万引きは「窃盗」、立派な犯罪行為です。

犯罪としての万引き

万引きは「窃盗罪」に該当します。 クレプトマニアは依存行為が犯罪行為、しかも、被害者がいる犯罪行為です。依存行為を手放す努力が必要です。

捕まると大変なことになります。「捕まらないように盗ろう」ではなく、「万引きをしない」ようにしなくてはなりません。こちらを読んでいただき、「万引きは犯罪、やってはいけない」という意識を高めましょう。

万引きは「窃盗」のひとつ

万引きというと軽く考えがちですが、「万引き=窃盗」です。

万引きとは窃盗の一種で、営業時間中の商店・小売店(百貨店やスーパーマーケット、コンビニ、書店など)等で販売を目的として展示・陳列してある商品(商品見本を含む)および展示・陳列のための備品などを店側の目を盗んで窃取することとされています。店員や警備員の目を盗み、商品をポケットやカバンに隠した時点で”既遂”、つまり犯罪を犯したとみなされます。
実際には商品を隠して店の外に出たところで声をかけられることが多いようです。

窃盗罪とは?

万引きで捕まった場合は「窃盗罪」に該当します。

窃盗罪は、刑法第235条において「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と、定められている立派な犯罪です。また逃亡しようとして店員や警備員などにけがを負わせてしまうと強盗罪や強盗致傷罪になります。強盗致傷罪は「無期または6年以上の懲役刑」と重い罰則が科されており、初犯であっても実刑判決(刑務所に入る)が出るケースが多いです。

捕まるとどうなるか

万引きで捕まった場合、どのような対応になるのでしょうか?

お店での対応

多くの場合は現行犯で捕まります。警備員や店員などに声をかけられ、事務室に連れていかれます。そこで盗んだ商品を確認して、警察に通報する流れになります。警察官がお店に到着すると、通常はパトカーで警察署まで連行されます。

万引きは後日逮捕はないといううわさ話もありますが、防犯カメラの精度が高まっていることもあり後日逮捕される例もあります

警察での取り調べ

警察署に連行されると警察による取り調べなどの捜査が行われ、写真撮影や指紋データ・DNAデータの採取なども行われます。警察署に留置されるのは最長で48時間で、それより短い時間で釈放されることもあります。48時間のあいだに、警察は事件を検察庁に送致するかどうかを検討します。

初犯の場合には「微罪処分」として扱われることも多くあります。微罪ではその後の刑事手続を行なわず(検察庁に送検されない)、釈放されることになります。しかしいくら微罪処分であっても前歴がつきます。前歴がついてすぐに社会的な不利益を被るというわけではありませんが、次回同じ犯罪を起こすと、初犯として扱われなくなります。

送検される場合は、逮捕後48時間以内に検察官に事件と身柄が送致されます。 送検された場合でも逃走・証拠隠滅のおそれがないと認められた場合には釈放され「在宅事件扱い」となることもあります。微罪処分でも、在宅事件扱いでも、警察から釈放されるときは基本的に身元引受人として家族や職場の上司などに迎えに来てもらう必要があります。

検察庁での取り調べ

検察庁に身柄を移されると、検察官は24時間以内に勾留(引き続き身柄を拘束し、捜査を行うこと)する必要があるかを検討します。検察官が「勾留の必要あり」と判断し、裁判所が勾留請求を認めた場合、最大20日間の身柄拘束を受けることになります。つまり、万引きで捕まった瞬間から最大で23日間身柄を拘束される可能性があるということです。

在宅事件扱いとなった場合は検察庁から必要の都度呼び出しを受け、通いながら取り調べを受けることになります。 この取り調べにより起訴・不起訴・略式起訴(罰金刑)の判断がされます。起訴・略式起訴の場合は前科が付くことになります。

起訴された場合

起訴された場合は刑事裁判を行うことになり、有罪か無罪かの判決と被疑者に与えられる刑罰の判決が下されます。日本では刑事事件の有罪率は99.9%であり、ほとんどが有罪となっています。

捕まることによる影響

捕まっていいことなんてありません。被害者はもちろん、関係者に多くの迷惑をかけることになります。

逮捕後72時間は家族でも面会できない

警察がお店に到着すると、スマートフォンの電源を切ることを指示されるなど、外部との連絡ができなくなります。また拘留された場合は、逮捕後72時間は原則的に家族であっても面会できません。関係者からすれば、いきなり消息不明になったような状態です。職場や学校にも連絡できず、多くの迷惑をかけることになります。

前科がつくことによる影響

起訴や罰金刑の場合は前科が付くことになります。前科が付くと、一定期間国家資格を取得できなくなったり就職が難しくなる仕事もあります

また海外へ行く場合、国によっては特別な申告が必要となることもあります。 アメリカへの渡航はは特別な申告が必要です。「知らずに社員旅行に行こうとしたら出国審査で足止めされた」・「急なアメリカ出張命令に申告が間に合わず対応できなかった」などという場合があるようです。

経済的損失

罰金刑となれば、当たり前ですが罰金を払う必要があります。また、裁判を行う場合、弁護士費用が必要になるなど大きな経済的損失があります。さらに検挙され職場に迷惑をかければ仕事を失う可能性もあります

万引きでお金を使わずに得をした気になっても、待っているのは大きな経済的損失です。得をすることはありません。

わたしが捕まった時のこと

情けない話ですが、わたしは警察にお世話になった経験があります。もう捕まりたくないので、もう捕まらないぞという思いを高めるためにその時のことを書きます。

捕まった時、お店にはお客さんが多くいる時間でしたが、保安員(万引きGメン)によって事務室に連れていかれました。たちまち警察官がやってきて、事務室の中でいろいろと話を聞かれました。その後、お客さんが大勢いる店内で現場検証をしました。商品が置いてあった場所へ行き、指差しをして制服の警察官が写真を撮ります。お客さんは「あの人、万引きしたんだ」と思いながらわたしのことを見ていたと思います。知っている人がいないことを心の底から願っている自分が情けなくなりました。

警察での取り調べから釈放された時には、両親が迎えに来てくれました。夜中の1時頃に迎えに来てもらったこともありました。こんな年にまでなって、両親に警察署に迎えに来てもらうなんて本当に情けなかったです。

警察から釈放されても、どう処分されたかという連絡がなかなか来ませんでした。送検するかもしれないし、しないかもしれない。検察からの呼び出しの連絡がきたのは事件から3か月くらいたっていました。検察の呼び出しの後も、起訴だったら連絡する、不起訴だったら連絡しないという扱いだったので常に不安でした。

捕まってよいことなんてありません。万引きを続けてよいことなんてありません。とにかく、精神的にしんどいです。警察にお世話になっても万引きがやめられなかったわたしが言っても説得力がありませんが、盗らない一日を積み重ねられるようになるのが一番の解決策だと思います。

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