後日逮捕も!捕まりやすくなっている万引き

犯罪としての万引き

万引きは窃盗罪に該当する犯罪行為です。発生件数が多く社会問題となっていることもあり、万引き防止に向けた取り組みが強化されています。

多発する万引き被害

警察白書によると、2018年に警察に届けられた万引犯罪は約11万件にのぼり、すべての犯罪の12%近くを占めています。また、検挙される犯人の3人に1人が万引き犯と高い割合を占めています。多発する万引き被害により閉鎖を余儀なくされる店舗もあるなど、深刻な問題となっています。

警察庁による通達

そのような状況を受け、警察庁では2019年3月に全国の警察組織に向けて「万引き防止に向けた総合的な対策の強化について」という通達を出し、万引きを防止するための総合的な対策を強化することを求めています。その中では、警察は小売店舗団体や地域の商店街などに対して防犯ネットワークの整備を進めることを促したり、きめ細やかな情報提供を行うことが求められています。警察がお店側と協力して、防犯機能を高めていく取り組みです。

また、万引きに対して適切な取締りを行うため、万引き被害が発覚した場合には必ず警察への届け出るようにお店側に呼びかけるとされています。つまり、「万引きでお店で捕まったけど、警察に連絡されずに済んだ」ということは起こりにくくなると思われます。さらに「万引きで検挙された被疑者が二度と繰り返さないよう、警察において適切な措置を講じることはもとより、罰金刑の活用等も含めた、対象に応じた適切な措置を講じるように、関係機関とも協議を行うこと。」と明記されており、万引きの重罰化が考えられます。

店側も防犯を強化している

店側も万引き対策を強化しています。被害状況が似ている同業種や地域において、万引き犯の情報交換が徐々に始まってきています。一部の書店やドラッグストアでは、警察と一体となって組織的万引犯罪や悪質常習者への万引き対策を進めています。

また、顔認証機能やAI技術などを活用し、被害店舗で万引き犯の情報を共有・活用する新しいシステムを取り入れる動きが始まるなど、防犯技術の進歩が著しくなっています。コロナ禍によりマスクをする生活が当たり前になっていますが、その影響でマスクをした状態でも顔認証ができるような技術も生まれています。その結果、顔認証にシステムより万引き常習犯が入店した時点でマークされ、警備員を配置したところ、万引き実行後に捕まったという事例も出てきています。

また、防犯カメラの性能も向上しており、捕まった後に自分が防犯カメラに映っている映像を見せられ、その鮮明さに驚き、言い逃れはできないと痛感したという話も聞いたことがあります。

万引き防止AIで容疑者が捕まった

2018年12月には、神奈川県のコンビニで発見した万引き事件について、万引きを防止するAIが容疑者の不審な動きを検知したことがきっかけで、実際に容疑者が逮捕されるという事案が発生しました。この防犯システムは防犯カメラの映像をAIで解析することで、万引き犯特有の不審な行動を検知するというシステムです。細かい行動を認識できる技術が開発されたことで「いつ、どこで、どのような身体的特徴を持った人が、どのように万引きをしたか」を自動検知できるようになりました。その結果、万引き犯の決定的な犯罪行為情報を取得し、警察へ提供することが可能となったそうです。 逮捕に至った神奈川県の事件では、コンビニに設置された防犯カメラの映像から万引き犯の決定的な犯罪行為情報が自動検知されました。そこでその映像情報を警察に提供した結果、容疑者の逮捕に至ったということです。このシステムを開発した企業は「警察と連携して、万引き犯の現行犯逮捕および映像証拠による後日逮捕を進めてまいります。」とコメントしています。AI技術は日進月歩、捕まりやすさは日に日に向上しています。

後日逮捕への不安とどう向き合うか

万引きを手放せたところで、それまでに起こした事件がなくなるわけではありません。万引き被害が発覚し事件化することに不安になる人も多く、万引きの後日逮捕はあるのか?というような問い合わせもいただくこともそれなりにあります。

これに対しては、「後日逮捕は実際にあります。これから起こるかもしれないし、起こらないかもしれない」そうお答えするしかありません。過去は変えられないので、もうどうしようもないです。

後日逮捕への不安は精神的ストレスになります。依存症者の多くは、依存行為でストレスを軽減させています。逆に言えば、依存行為以外のストレス発散方法が身についていない状況です。「後日逮捕が怖いなら、もうこれ以上万引きをしなければいい」、頭ではそう思うのです。しかし、後日逮捕の不安が大きなストレスになり、その捌け口としてまた万引きをしてしまうということもあります。しかもそれを誰にも相談できないため、ストレスをため込んでしまい、また万引きを繰り返すという、周囲からは理解できないような状況になってしまうことが十分に考えられます。

そのため、後日逮捕の不安をいかにストレスにしないかが重要になります。ひとつはもうそうなったらそうなったでしかたないと覚悟を決める、腹をくくってドーンと構えるということです。変えられない過去に囚われるのではなく、これからどうやって盗らない一日を積み重ねるかに目を向ける、それしかできることはありません。

とはいっても、そんな簡単にはいかないのが正直なところ。不安は不安です。そのストレスを減らすためには、気持ちをため込まないのがとても重要になってくると思います。多くの場合、誰にも言えずにひとり悩んでしまっています。不安な気持ちを減らすためには、自分の中にため込まず外に出すことが大切になります。1人で悩まずに助けを求めてください!

腹をくくることで変化が起こるかも??

以前、メールで問い合わせをいただいた当事者とのやり取り。

ゆう「もう、過去は変えられません。後日逮捕についてはどうしようもできないんです。腹をくくりましょう!そして不安な気持ちはため込まないで、メールにぶつけていただいていいですよ!」

Aさん「頭ではわかります。でも不安なんです…。そして盗りたい気持ちもなくならないんです」
こんなメールでのやりとりを繰り返し、1週間もしたらそのやり取りも途絶えました。(わたしは「来るもの拒まず、去るもの追わず」なので)

どうしてるかな…と思っていたらしばらくして
「つきものが取れたように後日逮捕の不安が消えました。やっと腹をくくることができたのだと思います。そうしたら盗りたい気持ちもスーッと消えました!」
なんて人もいました。

腹をくくる、そうして不安が減ったら、次の段階に進めるのかもしれません。

捕まらない唯一の方法は万引きをしないこと

AIなどの技術向上により、万引きは確実に発覚しやすくなっています。そして、捕まれば基本的に全件警察に通報され、様々なことに影響が出ます。もちろん、店舗に被害を与えることにもなってしまいます。それがわかっているのにやめられない、そのような状況であればクレプトマニアである可能性が高いです。一人ではどうにもできない状況になっています。

万引きがうまくいくことがあっても、続けていれば必ず捕まります。捕まらない、唯一の方法は万引きをしないことです。万引きをしないための努力を続けていかなくてはなりません。一人で何とかしようとしても難しいです。早めに、今すぐにでも助けを求めましょう。先延ばししていると、大変なことになります。

関連する項目はこちらです。