自助グループでの3つの経験

2020年10月21日

依存症の回復に効果があるとされているのが自助グループです。わたしは自助グループとのかかわり方で、3つの経験をしました。

自助グループとのかかわり方 3つの段階

わたしの自助グループとのかかわり方は、大きく3つの段階に分かれます。

①中学生の時の摂食障害の自助グループ(1回だけ)
②KAに通うも、万引きし続けていることを話せず、万引きがやめられなかった時期
③過去のことも正直に話し、KAに通いながら盗らない生活を続けている時期

初めての自助グループは摂食障害のグループ

初めて自助グループのミーティングに参加したのは中学生の時、摂食障害の自助グループでした。自助グループの存在を知った親戚から参加を勧められましたが、そのイメージがほとんどない状態、「摂食障害の人が集まっているから行ってみる」程度の感覚で参加したと記憶しています。1時間半のミーティングだったと思いますが、話の内容など詳しいことは覚えていません。

覚えているのは、「あ、違うな」と感じたということです。当時は中学生で、他の参加者と年代が違ったことも影響したのかもしれません。参加者の正直に弱みをさらけ出す姿は、言葉を選ばずに言えば、「傷をなめあっている、痛々しい人たち」・「自分とは違う世界の人たち」に見えました。

自助グループ初参加は、聞くだけで発言はせずに終わりました。そして、それっきり参加することはありませんでした。

今考えてみると、自分が摂食障害であることを否認していたために違う世界の人たちに見えたのだと思います。他の参加者が弱さをさらけ出す姿を否定し、距離を置くことで、自分が摂食障害であることを否定していたのだと感じています。

KAに通い始めたが、万引きは止められなかった

次に自助グループに参加したのは、クレプトマニアの自助グループ「KA」です。警察に捕まり、通院を始めたのとほぼ同じ時期に初めて参加しました。この時はクレプトマニアについての事前知識があり、自助グループの役割や効果を知った状態でした。そのため、自分の意志でKAに参加しました。

KAに初めて参加した時には、「また参加したい!」と思いました。仲間の話を聞くことで、同じ悩みを持った人が実在するということが分かったからです。クレプトマニアについて体験談を読んでいましたが、どこかドラマの世界の話のような感覚がありました。でも、実際に話を聞きクレプトマニアについて共感することで、同じ悩みを持った人がいると再認識し、気持ちがかなり楽になりました。自分がクレプトマニアであることは認めていましたが、KAに参加することでクレプトマニアであることをより強く認識するようになりました。

しかし、わたしはここで大きな失敗を犯します自分を良く見せたいスイッチが入ってしまい、毎日のように万引きをしていたのに、それを正直に話すことができなかったのです。しかも、正直に話さないことを「盗っていることを隠してはいるけど、”盗っていない”とウソをついているわけではないから悪くない」と正当化していました。

その根底には「万引きをやめたいと思えていない」ということがありました。やめたいと思えていなかったら、KAの仲間の前でさえも「万引きしていることがバレたくない」と考えてしまったのだと思います。さらに失敗だったのは、KAに通っている人は万引きを止められている人だと勘違いしてしまったことです。初めて参加した時に、「やめられていない」とはっきりと話した人はおらず、逆に年単位で盗らない生活を送れているという話を聞きました。「盗っていた」ことは話していても、「今も盗っている」ことを話す人はいないように感じてしまいました。その結果、「万引きを止められている自分」を演じてしまいました

参加を重ねるうちに、「今もやめられていない」という正直な仲間の話を聞くことができましたが、その頃には「盗らない生活を送れていると思われているだろうから、今更正直に話せない」という、良く見せたいスイッチが完全に入った状態になっていました。

そして、KAに通い続けても万引きがやめられませんでした

聞くことで自分の正直な気持ちに気づいた

万引きし続けていることを隠した状況で参加を続けていましたが、効果を感じなかったわけではありません。仲間の話を聞くことでいろんな気付きを得ていたので、KAに通う意味を感じていました。

参加を続ける中で、万引きがやめられないことを正直に話す仲間に出会いました。KAに通っていてもやめられていない人がいること、そしてそれを正直に話せる人がいることを知り、現実から逃げ回っている自分に危機感を覚えるようになりました

更に、「やめたいと思えていない」という仲間の話を聞き、その話に強く共感することで「万引きを止めなきゃまずいとは思うが、やめたいとは思えていない」という自分の正直な気持ちに気づきました「万引きをしている事実」と「手放すことを拒んでいる気持ち」があること、そしてそれに向き合うことから逃げていることがはっきりとわかりました

そこまでは至りましたが、その思いを正直に外に出すことはできませんでした。

KAの仲間の話を聞いて入院を決意

KAに通い続けてよかったのは仲間の入院経験の話を聞き、入院を決意できたことです。

「入院して、自分の内面に向き合い、澱のようにたまったどろどろした部分をミーティングで全部出し切った。その結果、今までとは全然違う生活が送れるようになった。とてもすっきりしているし、盗りたい気持ちは起こっていない。」そう話す仲間の目はとても力強く、わたしも続きたいと思いました。そして、万引きを止められず、しかもそれを正直に話せない状況を抜け出すには、入院しかないという思いが強くなりました。

毎日万引きをする生活は続いていましたが、万引きを手放すために入院する覚悟ができたのはKAに通い続け、入院を経験した仲間の話を聞けたからだと思っています。

KAでも正直に話し、盗らない生活を送れるようになった

KAで、やっと正直に話せたの入院中の外泊時のことです。過去のことも含めてKAでも正直に話すというのは、入院前から決めていました。入院中の院内ミーティング、主治医、外泊で家族に正直に話すという段階を経て、KAでもやっと正直に話すことができました。万引きを手放すことができ、過去のことになったから話せたのかもしれません

一度正直に話すと、KAでもどんどん自分の内面を出せるようになりました。正直になれていなかったときは、仲間に対しどこか後ろめたさがありましたがそれもなくなりました。正直な楽な自分で参加できるようになったので、以前よりも穏やかな気持ちでミーティングに参加できています。その結果、仲間の話から得られることが多くなったように思います。

自助グループをうまく利用するために

自助グループの仲間は、依存行為を手放せているとは限らないと思います。もし参加する時点で万引きを手放せていなくても、決して場違いではありません。そして、やめられていないなら、そのことをなるべく早い段階で正直に話すことが重要だと感じています。

わたしはKAに参加しても、万引きがやめられないことを正直に話せない期間が長く続きました。仲間の話を聞くことで得るものがたくさんあったので、通うことに意味はありました。でも、その効果は半減、いや8割減ぐらいだったのではないかと。
もしKAで正直に話せていたら、入院しなくても万引きを手放せたかもしれない。」そう思うくらい、正直に話せるとその効果は違います。

まずは自助グループに足を運ぶこと、そして可能な範囲で正直に。わたしの経験を反面教師にしてほしいと思います。

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